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2014年7月31日木曜日

モコレコメン:マネジャーが見ている景色/本『駆け出しマネジャーの成長論』(中原淳)

産休入りして最初に読了した本。

マドレボニータの「にんぷクラス」の同期が立ち上げてくれた「育休勉強会」の参考図書というかたちで偶然出会いました。正直、30歳前くらいにこの本があって、読めていたらなあ…と思います。でも今からでも出会えてよかったです。

組織のマネジャーになって日が浅い人(まさに駆け出し)、もしくは近々その機会があるかもしれない人をターゲットにした本なので、そのどちらでもない私の感想は一般的なものではないかもですが…。

マネジャー(管理職)になるということは、その人の中で大きな転換点であろうということは想像に難くなく、でもある年度やクオーターを境に(もしくは転職などを機に)ほとんど準備期間をもつことなくいきなり迎えることだと思います。仮に「そろそろかなあ」と予感はしていても、それまでの間に具体的に何かを備えるための方法なんてなかったかと。
これからは、少なくともこの本を読むという備えはできますよー!

漠然と「プレイヤーとはぜんぜん立ち位置も仕事の内容も考え方も変わるんだろうなあ」とは誰もがわかってることだと思いますが、本書ではその変化が論理、体系だてて解明されています。キャリア論は関心領域なので(それで人材業界にも転職したこともあり、今は仕事としては離れたけど好きな領域であることは変わりない)、そういう意味でまずとても面白かったです。
その上、読み手(冒頭の想定されるターゲット)がそれをどういう段階でモノにしていけばいいのか、順を追って語られていきます。最初は「マネジャーとは何か?」を言語化するところから始まるのです。
また、そのモノにしていくステップについても冒頭で明確にされています。いまココ!というのが明確です。それも読んでいてとっても心地よかったです。そういうことを求めてけっこう新書に手を出すのですが、新書のテイでも中身は随筆って本がわりとあるなあという中で、おお、新書を読んだ!という満足感がありました。

アカデミックな手法、数値的根拠を示しながら、綿密なフィールドワークに基づく研究で、随所にヒアリングした現役マネジャーの言葉の引用、適度なメタファーでの表現もあり、とても実践的で現実離れしていないのもよかったです。
研究者としての客観的な目線は保ちつつ、根底に流れているのはマネジャーになる誰もがこの機会を活かし、不当につまづいてしまうことなく、一つ上のステージで輝いてほしい…というような著者の暖かい気持ち、励ましであることを感じ続けながら読み切りました。


私自身は過去に勤めた2社でもマネジャー経験はなく(チームリーダーまで)、今の組織も企業体をそのままあてはめることは難しい環境です。
でも、過去の2社(タイプがぜんぜん違う)で所属した組織を振り返りながら上司と、プレイヤーだった自分のことを考えて「この本を読んでいたらもっとマネジャーから学べたし、不要な軋轢(そんなにもめる部下だったとは思いたいですが…w)をうまずに済んだし、プレイヤーとしてももう少し違う成長ができたかもしれないな」と思いました。
また、現状にしても、NPO法人という企業とは違う組織体、スタッフはほぼ全員プレイヤーで少人数でなんでもやっていかなければならない=「全て実務」であるように見える…
のですが、であればマネジャー視点やマネジャー的動き方は不要か、というとそうではなく、むしろ逆!と気付きました。

企業とは違う多様なステークホルダーがいる中での仕事なので、上下関係はなくても話の通し方、おろし方などはポイントやコツがあります。「実務をこなす」という視点だけでいると、同じ仕事でもその後にもたらす意味や成果が違ってきてしまうかもと思いました。

また、小さい組織だけど裁量権はかなりあって、事業の規模でははかれないインパクトを生める可能性もある仕事なので、企業体では得られない種の知見、大きな学びはあり、ややもするとそこで満足してしまいがち…。でも一方で意識していないとこのマネジャー的な仕事のスキルを養い損ねてこれからの30代最後〜40代前半を過ごしかねないなと思い、今の環境の中にあてはめながら意識して仕事していきたいと思いました。
↑
…なんて偉そうに書いていますが、実はこの本の前半を読んでふむふむと思っていたところで1回目の勉強会があり、あるケーススタディをしたら、多少マネジメント視点もあったものの、大半のプレイヤー視点の中に多少埋もれてるくらいの感じでした…。読んでたのに、ぜんぜん立ち位置をかえて見てみるという意識すらなかった><
だから、読んで、知識として賢くなった!ではかわらないということですね。その経験を平行してできたのもありがたかったです。

最後に純粋な感想として、「この本を読んでいる(または読んでいなくても自然にこれが体得できている)マネジャーとそうでないマネジャー」と考えたとき、どちらになりたいか?と問われればもちろん前者、どちらの下で働きたいか?と問いを変えても圧倒的に前者だと思いました。
というわけで、当事者、部下、上司、誰にとっても意義深い本です。


  

2013年7月18日木曜日

モコレコメン:30年を経ての再会/展覧会「レオ・レオニ 絵本のしごと」

小学校の頃、年度始めに教科書をもらうのがとっても楽しみでした。
特に国語の教科書は、もらったその日には読破していた、という人は他にもいらっしゃるのでは?

国語の教科書に載っていた話というのは、大人になってもふと思い出したり、全く別の場所で子ども時代を過ごした人とあるフレーズを共通して覚えていてもりあがったりするものですね。

そんな私が一番印象に残っていたのが、ねずみがおもちゃのねずみと出会う話でした。
ストーリーもさることながら、強烈だったのはその美しい絵です。
「描いた」んじゃないよね?このぐるぐるした模様(マーブル調)はどうやってだしてるんだろう?

でもタイトルや作家などを覚えておらず、この話のこともたまに思い出すけど探し出すまででもなく…。
この話のタイトルが「アレクサンダとぜんまいねずみ」、作者が「レオ・レオニ」、絵本も出版されている(正確には絵本の刊行があって、教科書に採択された、という順序ですね)ということを知ったのはここ数年のことでした。


そんなわけで!とようやく本題。
8/4(日)まで渋谷の東急Bunkamura「ザ・ミュージアム」で開催中の「レオ・レオニ 絵本のしごと」展に行ってきました★


展覧会は会期末になると混むものですが、既に週末はけっこう混んでいて、物販コーナーも大賑わい、という話を聞き、急いで行ってきました。
平日の午前中、10時のオープン直後でも各展示を見るには少し列ができている、という状態。

ゾーンは4つに分かれていました。
こうした一人の作家の軌跡を追う展示会だと、時系列でその章が組み立てられていることが多いかもしれませんが、今回は時系列ではなく、絵本(生涯で40冊もの絵本を描いたそうです!)の根底に流れるテーマやメッセージによって分かれていました。

絵本の原画や資料などが、その絵本ごとに並べられています。


まず【絵】としての感想。

例の「アレクサンダとぜんまいねずみ」の原画もありました!
子どものときに不思議に感じていたことが判明。

コラージュだったんですね。
ねずみの体や耳、目、しっぽなど、いや、この絵本は基本背景なども全て、
色紙を切ったりちぎったりしたものでした。

地面やとかげの体などはマーブルに印刷された紙(もしかしたらご自身で染めたものもあるかもしれないです)だったのです。
また、何となくエキゾチック(という言葉は知らなかったけど)に感じられていたのは、千代紙などを使っていたからだ、と知ることができました。


その他の作品も見ると、さまざまな手法を使っていたことがわかります。
コラージュの他に水彩・油彩・クレヨン・色鉛筆などで描かれたものもあるし、
複数の手法を織り交ぜた作品もありました。
「ストーリーにもっともふさわしい手法を使おうと努めている」と語っていたそうです。

いずれにしてもその根底には圧倒的なデッサン力がある、ということは石のスケッチのコーナーで実感することができました。

彼が絵本をはじめてつくったのは50代に入ろうとするところで、
その時点で既に第一線で活躍する著名なグラフィック・デザイナーだった、ということでも納得できた点がいろいろ。

眺めていて感じられる、「完成されている」という気持ち良さは、
確かにデザイン性の高いポスターみたいだな、と。
しっかりデザインのスキルをもっているから、計算されつくした世界があるんですね。

それと「感情」みたいなものが共存しているのがすごいなと思いました。
ねずみはみんな同じ顔をしているし、工業製品のように無機質的なようでいながら、
すごく表現豊かで奥が深い、っていう独特な体験ができるってすごい。
解説によると、主人公の大きさや配置によって、心の動きや感情を見る側に伝えられるのも、グラフィック・デザイナーの仕事で培った手法なのだそうです。


もう一つは【主題】について。

それぞれの絵本が伝えたいメッセージ。
子どもはそんなにメタ的にこの本が伝えたいのは…なんて思わないし、そんなことばではないところで受け取って、密かに(自分でも気付かないところで)自分の中のなにかを形作るのかな、と思います。
それがその話をずっと覚えていたり、好きでい続けたりするという現象に残っているというか。

大人になって、こういった形で生涯のしごとを見せてもらうと、そのメッセージの深さとか、一貫性、それを絵本という形で表現しきることのすばらしさに感嘆します。
いくつになっても他の人とずれたことをしたくない、かと思いきや自分らしさを追い求めたいなんて悩むし。
「結局、選ぶのは自分」とか、もしかしたら今が一番実感しているかもしれないし。
決して絵本は子どものためだけのものではないんだなー。


展示会の構成や解説もわかりやすく、とっても好きな感じでした。
現在の国語の教科書も展示されていました。
かつての私のように、「アレクサンダとぜんまいねずみ」に心奪われている子どもたちがいるはず★

「原画」が発するエネルギーや色彩のあざやかさもすごかったです。
実は、帰って来てから絵本を見て実感しました。
原画のほうがきれいだったな…って思っちゃいました。
もう30〜40年たっているものなので、経年変化や汚れ、コラージュのズレなどあるんだけど、
やっぱり本物は違う…。

印刷された絵本は文字も載ってるしね。1970年代っぽいなーという文字組みのズレとか、最近はあまりつかわないなというフォントや微妙な文字間も、それは味があって好きですが。
もちろん絵本は図録ではないから、求めるものが違いますね。
だからこそ、こうして足を運んで原画をみるという経験にも意味があるのでしょう。


あと、きっと一番有名な作品は「スイミー」ですよね。
教科書に採択されているのも、こちらのほうが多いと思います。
お子さんが学校の宿題で「スイミー」の音読を自宅でしていた、と言っている人が何人かいました。

スイミーの原画は出ていませんが、スイミーの世界が映像になって、大きなスクリーンで見られるコーナーがあります。
自分も海の中にいるように囲まれていて、画面に近づくとさかなが逃げる!
楽しかったです。

まだ人ごみをかきわけずに買い物ができる物販コーナーは、かなり絞ったつもりですが、それでも普段の展示会のときよりもたくさん買い物してしまいました。

やっぱりグッズ映えしますよね〜。
こういうところでもグラフィック・デザイナーということを実感します。

特に買ってよかった!というのが「レオ・レオニ メモリーゲーム」。
神経衰弱ができるカードです。
絵柄が20種類以上!紙もしっかりと厚く、小振りなのもかわいいです。
3歳児ともぎりぎりゲームが楽しめることがわかりました。


絵本も日本語、原語(英語)、かなり揃っていました。
ようやく「アレクサンダとぜんまいねずみ」を購入し、30年ぶりに全文読み直しました☆
「スイミー」も!こっちはやっぱり私初読だったっぽいです。



「レオ・レオニ 絵本のしごと」展は、Bunkamuraでは8/4(日)まで(会期中無休)。
今後の巡回予定は
2013年12月7日-2014年2月16日 北九州市立美術館分館
2014年4月26日-6月8日 刈谷市美術館
とのことです。

Bunkamura開催の特設ページはコチラです。

  

2013年7月13日土曜日

モコレコメン:天気情報を読み解くための一生モノの知識/本『いのちを守る気象情報』(斉田季実治)

NHKの『首都圏ニュース845』や『NEWS WEB』の気象情報コーナーに出演中の気象予報士、斉田季実治さん。

斉田さん…ファンです☆
なぜなら、かっこいいから★
うっかりしていると、斉田さんに見とれてしまって、天気どうだったっけ…?と思ってしまいかねません。
いえ、この本を読んだらそんなことは言ってられない!

斉田さんのTwitterで、本を出されたことを知りました。
『いのちを守る気象情報』(NHK出版新書404)です。

まず「はじめに」を読み、気象情報を伝えるプロとしての使命感の強さに驚きました。
大学在学中に気象予報士資格を取得(とさくっと書いてありますが、難しいんですよね…)。新卒で入社した地方TV局では、報道記者としてたくさんの自然災害が起き、人がいのちを落とした「後」を伝えてきたそうです。
その人たちが正しい情報をもっていたら、いのちを落とさなくても済んだのではないか。だからそれを伝える「災害を未然に防ぐ『気象の専門家』」として生きていこうと決意され、この本を書くこともずっと心にもってきた目標だったそうです。

そういえば昨年、お世話になっているFM西東京の研修で、気象庁の方にお話を伺いました。
そのときに2008年に神戸の都賀川を襲ったゲリラ豪雨の映像を見ました。
監視カメラの映像を早回しにしたものだったのですが、声も出ぬ間に親水公園として整備された川が氾濫、遊歩道も埋まって行きました。
このときは橋の下に雨宿りしていた子どもたちが流され…亡くなった方もいたそうです(斉田さんの本でもこの事故は取りあげられています)。

私もこんな親水公園にいて夕立が来たら…
何の疑問もなく橋の下に「避難」して安心してしまうんじゃないか。
私がこの映像を見て一番怖いと思ったのはそれでした。

一つの知識があるかないかが明暗を分ける。
じゃあそんな知識をどうやって一つでも多く知っておくことができるか?
その方法の一つがこの本だと思います。

本では8つの大きな自然災害をとりあげています。
台風、大雨、雷、竜巻、大雪、熱中症、地震(津波)、火山の8つで、どの章から読んでも大丈夫。

特に印象的だったのは、今まさにリスクのある「熱中症」。
斉田さん自身が昨年熱中症になってしまったときの話にリアリティがあり、
誰でもあっさり熱中症になりうるし、知識がないとこれって熱中症なんじゃ…?と自分や家族も気付くのが遅れる危険があると知りました。

最近は決まり文句のように「熱中症にお気をつけくださいね」とかメールで書いちゃうけどさ…。それってどういうことか?ということを考えて危機感をもってその言葉を発しているか、受け取っているか?ですよね。


ある自然災害がいのちに関わるような事故となるかどうかは、その災害を受けた場所の環境、状況によっても変わるし、さらにそれを予測したり適切な対策をうてる知識があるかにもよる。
しかも、その知識があっても、油断や過信で行動が伴わなければ…。

私たちは心配だとたくさん情報に触れようとするし、今はネットもあるので簡単にアクセスできるようになっているけど、
その情報を「いのちを守る手段」にするためには、自分側にもベースとなる知識が必要なんですね。

この本は、その災害がなぜ起きるのかという気象学をわかりやすく噛み砕いた解説と、豊富な事例(たいていが人が亡くなった話なので心が痛みますが、これを読ませていただくことで無駄にはすまい、と思わされました)により私たちが取りうる術を知ることができます。

章の最後には、何か起こったときの状況に照らし合わせて判断できるわかりやすいまとめもあります。

自然災害を、「まさか自分に起こるとは思わなかった」ではなく、「いつかは自分に起こるかもしれない」と思うこと。
でも「いつ起こってもおかしくないんだよね…。こわいなー、どうしよう」と漠然とした不安のままにせず、事故を防ぐための科学的な知識をもち、具体的な対策を講じられるようにしておくこと。

しっかり肝に銘じ、家族とも共有したいと思います。


「お天気キャスター」って華やかなイメージで人気職業という感じですが、
「いのち」を左右する情報を提供する、本当に責任あるお仕事なんだなあ。

日々のお天気情報は刻々と変わる、賞味期限のある情報。
この本に載っているのは、その日々の情報を最大限意味のあるものとして受け取るための一生モノの知識で、いわば一般人にとっての気象情報のマニュアルだと思いました。

自分や大切な人を守るために、一日も早く、一人でも多くの人に手に取っていただきたい本です!
あー、ますます好きになってしまった…。

  

2013年7月11日木曜日

モコレコメン:読んだそばから「情報」の見方が変わるかも/本『メディアの仕組み』(池上彰×津田大介)

池上彰さんと津田大介さんがお二人で本を出した、ということをTwitterで知りました。
早速Amazonで検索してみたのだけど、ひっかかりません。
お二人の本なら「メディアの」くらいの検索で一番上にくると思ったのに。

Google検索してわかったのですが、この本初版はネット書店で販売しないそうなのです。
リアルの書店だけ、ということで翌日外出した際に購入。

「メディアの仕組み」(夜間飛行/池上彰×津田大介)です。
発行元はメルマガを発行する会社。初版を取り扱っている書店リストはコチラです。

お二人の対談を本にしたもの、ということでとても読みやすく、
寝落ちせずに済んだ布団の上で大半を読み、寝落ち。
朝ちょっと早く起きたのでそのまま続きを読んで読了。

津田大介さんは以前「情報の呼吸法」を読み、誠実で、人一倍努力され、やるべきことをやってきている方だなあ、だからネットで炎上しても動じず、ぶれないのだろうなあ(というのも偉そうな書き方ですが…)と感じて、Twitterを中心に発信されるものを追っています。今回本を読んで、ついに有料メルマガにも登録しようと思いました。

池上彰さんは…この本の中で津田さんが大学生のときに「週間こどもニュース(NHK)を見てびっくりした」と書かれていましたが、私が池上さんを認識したのはもっと早く(自慢?)、中学生のとき(私は津田さんの2歳下です)。

池上さんがNHKの記者として「首都圏ニュース」に出ていた頃なのですが、ニュースの最後にさりげなく(?)だじゃれをいい、その直後の沈黙のこちらの反応を伺っているような、笑いそうな笑ってなさそうな表情を見たときに、「このひと…NHKなのに…すごい!」と思ったのでした。

高校時代のアルバムを見ると、部活の休み時間のスナップに教室の黒板がうつっていて、そこに私が書いた池上さんの似顔絵が…。そんなに好きだったのか。

もちろん「週間こどもニュース」も見ていました☆
その後の活躍は広く知られるとおりです。


さて、本を読んでの感想ですが、
活字なのにここまで書いてある!と思った箇所がいくつかあり、おもしろかったです。

構成はこんなです。
第1章 テレビの仕組み(テレビにタブーはあるのか?)
第2章 新聞の仕組み(新聞は生き残れるのか?)
第3章 ネットの仕組み(ネットは世界を変えるのか?)
第4章 情報で世の中を動かす方法(事実とは何か? 真実とは何か?)
第5章 「伝える」力の育て方(世の中はそんなに単純ではない?)


第1章の「テレビの仕組み」は正直、もう少しこの対談を長く続けてほしかった…と思いました。
311直後に原発事故に関する報道をマスコミがなぜしっかりできなかったのかについては理解できましたが、ではその後は…?ということをもう少し知りたかったかも。

第2章の「新聞の仕組み」は特におもしろかった!
「あること」に触れられていたのが衝撃でしたし、そのことが意外なことに関係していると知ることができてびっくり。
ちなみに、こんな話題が出ていたとパートナーにしたら、即「読む!」と言っていました。

津田さんが示した2つの新聞社が生き残る道というのも、一つは既に知っている人は知ってることなのかもしれませんが、なるほど納得。

第3章の「ネットの仕組み」は、イスラム圏の民主化運動や中国の情報統制について、事例を挙げての解説がわかりやすかったです。
後半の「ネットリテラシー」についても、自分のリテラシー、これからネットに当たり前に触れて行く子どもたちのリテラシー、
ネット選挙が解禁となる一方、ネットでの失言が文字通り命取りになってしまうできごとも起きている政治家のリテラシーなどさまざまな側面からの指摘がありおもしろかったです。

第4・5章では池上さん・津田さん両者が「伝える」ということをどう考え、何に気をつけ、日々どう臨んでいるかについて垣間みることができました。
彼らが発信するものは頻繁に触れることができても、どういう思いがあり、特徴があるのかというのはあまり意識できていませんでしたが、読んでみるとものすごくおもしろくかったです。他の著書も読んだり、これから彼らが発信しているときにそのスタンスについても意識したりしてみます。

私も「伝える」ことは自分が生きていく上での大切なテーマです。
自分の伝える上でのスタンスはどうなっているか?どうしたいか?
伝えたいことを適切に伝えるにはどうしたらいいのか?
そもそもなぜ伝えたいのか?
…と考えていきたいので、ここについてはまた再読したいです。

そういえば、少し前にTBSラジオの荻上チキさんの「Session-22」で池上彰さんの現場にこだわる仕事術についての話がありました(本人出演ではありません)。
池上さんの気力、体力にびっくり。…彼にもほんとに1日24時間しかないのか?
Podcastもあります。10分くらいです。よろしければコチラから。

なお、この本、初版は電子書籍版の無料ダウンロードができるようになっています。
また、旬の話題もあるので、読みたいと思ったら先延ばしにしておく理由はないかなと思います。
せっかくなら参院選前に!で、選挙開票速報特番は池上さんが担当するテレ東を観たらより深読みできそうです★

最後に、なぜ初版をリアル書店での販売に限定したか、についてもその理由かなと思われる話が2、3カ所出てきます。
ブログの冒頭で、Amazonで検索したのに出てこない!と書きましたが、書名をみかけると、ほとんど無意識にAmazonで検索している自分に気づきました。
ネットで購入できるのは便利で、特に産後は圧倒的に書店にふらっと行くことがなくなってしまっていましたが、あえて書店に足を運ぶようにしてみたいと思いました。

  

2013年6月20日木曜日

モコレコメン:子育て中だって人は成長する権利と義務がある/本『子どもが育つ条件』

最近何冊かの本を平行して読んでいて、どれも途中まで読み、
外出時に2冊持って出るんだけど(1冊だと途中で読み終えたらどうしようとか思い)、
どちらもほとんど読めずに帰宅…ということが続いていました。
そんな中からこの本が一抜け!(笑)

『子どもが育つ条件』柏木惠子 著(岩波新書 1142)

タイトルを見ると、三歳児神話を信じている人が手に取りそうですが、
家族心理学の研究が進むにしたがってその神話が幻想にすぎないということがわかった、
ということが実証データに基づき明快に語られます。

「◯◯ちゃんママ」としか呼ばれない違和感、
母となっても「母ではない自分」というペルソナを求める気持ち、
それができないと生まれるイライラ…
どれも覚えのある感覚、それを論理的に説明してもらって気持ちよかったです。

語られていることは、特別目新しくないのです。
でもそれは今まで私はほとんどマドレボニータ界隈で見聞きしたことでした。
このように活字で、新書になっているのか!と驚きました。

人間の成長・進歩の欲求は大人になっても終わらない。
それが奪われることが不安をもたらすんですね。
子育てでキャリアが中断されることの不安は、経済的な事情とか、
いざ再び職を求めたときに自分に就ける仕事があるのかどうか?
という将来への不安ということが一般的に言われやすいです。

それも確かにありますが、では再就職が仮に約束されていたとしても、
中断して「育児に専念」している今を楽しく過ごせるか、というと、
そんな簡単なものではない(多少不安は減るかもしれないけど)。
むしろ仕事をしながら子育てしている女性よりも育児不安を抱えている比率が高い
というデータもあるそうです。
それはなぜか?というのが本当にわかりやすく解説されていました。

大人が自分の成長・進歩を横に置いておきながら、子どもだけに成長を促して、
さらに子どもの成長に自分を投影させられたら、反発を生む…。
確かにそうかも。
私は産後に出会った「(子どもに自分の)背中を見せる」という言葉が好きだけど、
今まで感覚的にわかる!そうだ!、と思いながら、
論理的に説明できることばを持っていませんでした。

今回、それは自分が大人になっても成長や進歩を諦めずに続ける姿を見せ、
人として健全に生きるということなのかと腹おちして、
じゃあ、どんな自分の背中を見せたいか?ということをもっと貪欲に、
明確に考えて行動したいと思いました。

この本は夫婦で読んで、共通の見解、子育ての指針として
時折立ち返る場所にしておきたいです。
少し子育てに理解のある(といわれている)男性だと、
「今日は子どもを見ているからママ業休んでリフレッシュしてきなよ」
とか言ってくれるようですが、必要なのはリフレッシュ…だけではないんですよね。
癒されたとしても、翌日にはイライラ戻りますもんね…。
でも、それだけ理解を示してくれるということは、適切な知識を得られれば、
その思いやりの気持ちを違うアクションに変えてくれるんじゃないかなと思います。

著者は、社会構造を変えないと問題は根本的に解決しない、と提言しています。
それは本当にそうだと思う。
でもそれを待っていて現状を諦めていたら自分の世代はそれで終わってしまいます。

この本やマドレボニータに出会った私は今の世代からこう生きていきたいし、
できる限り伝えていきたいなと思います。
こういった本を読んで想いをわかちあったり、
同じコンテキストで「親となって生きる」を語れる人を周りに増やしていけば、
そこから変わっていくこともあると信じています。

ブログの記事では私が印象的だった箇所を端的に拾ってしまいますので、
ご興味を持たれた方も、私の書き方に反発や違和感を持たれた方も(すみません)、
ぜひご一読いただければと思います。


 西東京市の図書館でも借りることができますよー。

  

2013年3月17日日曜日

モコレコメン:リストラ疑似体験/本 今日からあなたには仕事はありません


ハイリスク・ハイリターンな外資系企業ではたらく、ということは、私が社会人になったころはそれを選びたい人が選ぶ道、だったと思います。
でも今は安定を求めて入った日系企業が投資ファンドに買われる…とか、そうでなくてもいろいろな事情で当たり前に続くと思っていた仕事がなくなるということがありえます。

何をもって「リスク」か、という概念もかわりつつありますが、またハイリスクならハイリターン、という図式もなりたたなくなっていますが、とにかく明日も同じように仕事が保証されないのは一部の外資系という世の中ではなくなりました。

とはいえ、ありえるって頭ではわかってるけど、誰もいつだってどうなるかわからないと思っているけど、そうなったらどうなるか?自分はどうするか?を知り、考える機会はなかなか得られません。

今回読んだ『今日からあなたには仕事はありません(豊田大史)』はジャンルとしてはビジネス書。
でもスタイルは「小説」というかたちをとっています。
ある朝、典型的日系メーカー営業部のオフィス。部長に招集されていた朝礼に部長の姿はなく、その変わりに入ってきたのは見たことのない、明らかに自分の会社の人ではない雰囲気をたたえた男性だった…。

そこから始まる激動の3か月間。オンリーワンの存在として「どこでも生き残れる」ビジネスパーソンになるための力の付け方が、ストーリーに沿って9章で展開されます。
各章にはビジネス書的なチャート図もあるのですが、これだけを唐突に「必要ですよ」と言われるのではなく、ストーリーの中で主人公の女性が試行錯誤しながら掴む結論なので、腹落ちするし、やる気になります。

おそらく、その腹落ちした各論について習得するには、別の詳細な本などをあたっていく必要があると思いますが、1冊で全容がとらえられるのがとてもいいです。

読み終えて感じるのは、自分の会社が危なそうな人はそのときに備えて読んでおきましょう、という本ではないということ。
今の働く環境や組織が安定しているかどうかに関わらず、自分がどうありたいか、何をしていきたいか、それは今の組織が継続することに頼ったビジョンではないか?ということを常に考えておくことが大切だということですね。

「そうなったらどうなるか?」を疑似体験しつつ、そうなる前に今の自分ができる備えを考えられる…というのはこの小説スタイルだからこそ。

その意識で行動が変わり、すると思いがけない展開や出会いがあって、自ら環境を変えることになるかもしれない。
そのままその組織にいるとしても、さらにいい仕事ができるかもしれない。


ここからはちょっと自分の話。

私が今仕事をしているNPO法人マドレボニータでは、年2回「ビジョンシート」を更新し、
「ビジョンMTG」で発表して、仲間からフィードバックをもらいます。

半年後、1年後、5年後のビジョンを書くという欄もあります。
そこで気付いたのですが、今までの私のビジョンシート、マドレで働いていることが前提になっていました。
もちろんその組織での5年後を考えることは大事だけど、それだけでは仮にそのまま5年来れたとしても、そこまでに作って来れるつながりや世界に差が生まれそう…。

一度「自分の意志だけではその組織に残れない」ということを身を以て経験しているのにこれです。
ワーキングマザーになってさらに限られる時間の中、常にタスクも中長期的にやりたいこともいっぱいでそれが楽しい状態。
だからこそ一歩ひいて「外」も意識していこうと、この本を読んで気付かされました。

きっとバリバリのビジネスマン&ウーマンが主なターゲットだと思うけど、そうでない働き方の人でもきっといろいろ感じられるはずです。

実は、この本を書いたのは大学時代のサークルの後輩。
でも、だからレビューを書いたんじゃありません。
そうでなくても、この本を読んでいたら書いたと思います。



  

2013年2月18日月曜日

モコレコメン:男性も妊娠する世の中だったら…/マンガ ヒヤマケンタロウの妊娠


今日のモコレコメンは、マンガ!

マドレ事務局スタッフの先輩、秋子さん(書評での作家名はツキノハルミさん)は、日々本当にたくさんの本を読み、紹介してくださいます。ジャンルも多岐にわたっていて、本当に勉強になります!

そんな秋子さんが先日「読書メーター」で紹介していたマンガが気になり、即購入!

前から、ふと妄想することがありました。
もし、男女どちらが妊娠するかわからない、という世の中だったら、子育てや「子育てしながらはたらく」ってどうなるんだろうーーー?と。

例えば保育園。
必死に情報収集するのは大半が女性。
男性側は募集や選考スケジュールも把握してない。
どこに保育園があるのかとか、下手すると認可と認証、無認可の区別もついてない(東京都の場合)。
入れなかったときに別の手を尽くすのも女性。それでも叶わなかったときに自分の仕事を調整(最悪退職)するのも女性…。

もし男性がその子を産んでたらどうなのか?


夫婦が子どもをつくるかどうかの相談。
お互いいろいろ生活の変化のシミュレーションをするとは思うのですが、
もし男性が、自分のほうが妊娠するかも…と思っていたら、もっといろいろ考えるんじゃないか?

なくなることのない望まない妊娠。
男性はもっと真剣に避妊するんじゃないか?

などなど妄想してたわけです。

その世界を描ききったのがこのマンガ。
しかも設定ががんばったなー、秀逸だなあと思うのは、
「近年男性の妊娠が確認されるようになった」という設定。

確かに、もともとそういう世界だったら、それが当たり前なんですけど、
急に変化が起きたという設定にすることで、社会が変わらざるを得ない様子を描いていくんです。
医学的な設定は相当無理がありますけどね…。
でもそれをこのマンガを議論する際に問うのは的外れ、ヤボだと思います。

しかも男性の妊娠は、女性の約1/10。
周りでもまだ男性が妊娠した人は少なくて、
デマ(妊娠する男性は同性愛者など)もある。

そんな中妊娠した主人公(男性)が、自分の仕事(外食業界の店舗企画職)を活かして、
「産むメン」の居場所を作っていきます。
最初は自分が出産後の居場所と仕事を確保するためだったのだけど、徐々に社会を変えていくんだ、という意識に変わっていきます。

…ただ、結局妊娠して出産した方が「抱え込む」という図式は変わらず。
特にこの主人公カップルは未婚ということもあって、
妊娠しなかった女性の方は、たまに会って赤ちゃんあやして…というおいしいとこどりだったりするのがちょっと残念でした。

どっちが妊娠するかわからなくても、結局妊娠したほうが抱え込んでしまうのか…。
いや、妊娠するまでがわからないから、そもそもの心がけが違っていて、妊娠しなかったほうもしっかりコミットメントできるのかな…。

このマンガでは、そこに主眼が置かれてるわけではないので、そのあたりは浅いし、
そもそも産後を甘くみてる!!…と思ってしまう箇所も多々ありますが、
この話を発端に、仲間同士、夫婦同士話してみたらおもしろいだろうなーと思いました。

今ブログを書いている現在は、軒並み品切れ、中古が定価の約2倍の値付けになっているのが残念ですが…。
複数のルートからこの本についての投稿を見かけたりするので、重版に期待!!
→普通に流通するようになりましたね!よかった☆(3/1追記)

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