産休入りして最初に読了した本。
マドレボニータの「にんぷクラス」の同期が立ち上げてくれた「育休勉強会」の参考図書というかたちで偶然出会いました。正直、30歳前くらいにこの本があって、読めていたらなあ…と思います。でも今からでも出会えてよかったです。
組織のマネジャーになって日が浅い人(まさに駆け出し)、もしくは近々その機会があるかもしれない人をターゲットにした本なので、そのどちらでもない私の感想は一般的なものではないかもですが…。
マネジャー(管理職)になるということは、その人の中で大きな転換点であろうということは想像に難くなく、でもある年度やクオーターを境に(もしくは転職などを機に)ほとんど準備期間をもつことなくいきなり迎えることだと思います。仮に「そろそろかなあ」と予感はしていても、それまでの間に具体的に何かを備えるための方法なんてなかったかと。
これからは、少なくともこの本を読むという備えはできますよー!
漠然と「プレイヤーとはぜんぜん立ち位置も仕事の内容も考え方も変わるんだろうなあ」とは誰もがわかってることだと思いますが、本書ではその変化が論理、体系だてて解明されています。キャリア論は関心領域なので(それで人材業界にも転職したこともあり、今は仕事としては離れたけど好きな領域であることは変わりない)、そういう意味でまずとても面白かったです。
その上、読み手(冒頭の想定されるターゲット)がそれをどういう段階でモノにしていけばいいのか、順を追って語られていきます。最初は「マネジャーとは何か?」を言語化するところから始まるのです。
また、そのモノにしていくステップについても冒頭で明確にされています。いまココ!というのが明確です。それも読んでいてとっても心地よかったです。そういうことを求めてけっこう新書に手を出すのですが、新書のテイでも中身は随筆って本がわりとあるなあという中で、おお、新書を読んだ!という満足感がありました。
アカデミックな手法、数値的根拠を示しながら、綿密なフィールドワークに基づく研究で、随所にヒアリングした現役マネジャーの言葉の引用、適度なメタファーでの表現もあり、とても実践的で現実離れしていないのもよかったです。
研究者としての客観的な目線は保ちつつ、根底に流れているのはマネジャーになる誰もがこの機会を活かし、不当につまづいてしまうことなく、一つ上のステージで輝いてほしい…というような著者の暖かい気持ち、励ましであることを感じ続けながら読み切りました。
私自身は過去に勤めた2社でもマネジャー経験はなく(チームリーダーまで)、今の組織も企業体をそのままあてはめることは難しい環境です。
でも、過去の2社(タイプがぜんぜん違う)で所属した組織を振り返りながら上司と、プレイヤーだった自分のことを考えて「この本を読んでいたらもっとマネジャーから学べたし、不要な軋轢(そんなにもめる部下だったとは思いたいですが…w)をうまずに済んだし、プレイヤーとしてももう少し違う成長ができたかもしれないな」と思いました。
また、現状にしても、NPO法人という企業とは違う組織体、スタッフはほぼ全員プレイヤーで少人数でなんでもやっていかなければならない=「全て実務」であるように見える…
のですが、であればマネジャー視点やマネジャー的動き方は不要か、というとそうではなく、むしろ逆!と気付きました。
企業とは違う多様なステークホルダーがいる中での仕事なので、上下関係はなくても話の通し方、おろし方などはポイントやコツがあります。「実務をこなす」という視点だけでいると、同じ仕事でもその後にもたらす意味や成果が違ってきてしまうかもと思いました。
また、小さい組織だけど裁量権はかなりあって、事業の規模でははかれないインパクトを生める可能性もある仕事なので、企業体では得られない種の知見、大きな学びはあり、ややもするとそこで満足してしまいがち…。でも一方で意識していないとこのマネジャー的な仕事のスキルを養い損ねてこれからの30代最後〜40代前半を過ごしかねないなと思い、今の環境の中にあてはめながら意識して仕事していきたいと思いました。
↑
…なんて偉そうに書いていますが、実はこの本の前半を読んでふむふむと思っていたところで1回目の勉強会があり、あるケーススタディをしたら、多少マネジメント視点もあったものの、大半のプレイヤー視点の中に多少埋もれてるくらいの感じでした…。読んでたのに、ぜんぜん立ち位置をかえて見てみるという意識すらなかった><
だから、読んで、知識として賢くなった!ではかわらないということですね。その経験を平行してできたのもありがたかったです。
最後に純粋な感想として、「この本を読んでいる(または読んでいなくても自然にこれが体得できている)マネジャーとそうでないマネジャー」と考えたとき、どちらになりたいか?と問われればもちろん前者、どちらの下で働きたいか?と問いを変えても圧倒的に前者だと思いました。
というわけで、当事者、部下、上司、誰にとっても意義深い本です。
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