2013年7月13日土曜日

モコレコメン:天気情報を読み解くための一生モノの知識/本『いのちを守る気象情報』(斉田季実治)

NHKの『首都圏ニュース845』や『NEWS WEB』の気象情報コーナーに出演中の気象予報士、斉田季実治さん。

斉田さん…ファンです☆
なぜなら、かっこいいから★
うっかりしていると、斉田さんに見とれてしまって、天気どうだったっけ…?と思ってしまいかねません。
いえ、この本を読んだらそんなことは言ってられない!

斉田さんのTwitterで、本を出されたことを知りました。
『いのちを守る気象情報』(NHK出版新書404)です。

まず「はじめに」を読み、気象情報を伝えるプロとしての使命感の強さに驚きました。
大学在学中に気象予報士資格を取得(とさくっと書いてありますが、難しいんですよね…)。新卒で入社した地方TV局では、報道記者としてたくさんの自然災害が起き、人がいのちを落とした「後」を伝えてきたそうです。
その人たちが正しい情報をもっていたら、いのちを落とさなくても済んだのではないか。だからそれを伝える「災害を未然に防ぐ『気象の専門家』」として生きていこうと決意され、この本を書くこともずっと心にもってきた目標だったそうです。

そういえば昨年、お世話になっているFM西東京の研修で、気象庁の方にお話を伺いました。
そのときに2008年に神戸の都賀川を襲ったゲリラ豪雨の映像を見ました。
監視カメラの映像を早回しにしたものだったのですが、声も出ぬ間に親水公園として整備された川が氾濫、遊歩道も埋まって行きました。
このときは橋の下に雨宿りしていた子どもたちが流され…亡くなった方もいたそうです(斉田さんの本でもこの事故は取りあげられています)。

私もこんな親水公園にいて夕立が来たら…
何の疑問もなく橋の下に「避難」して安心してしまうんじゃないか。
私がこの映像を見て一番怖いと思ったのはそれでした。

一つの知識があるかないかが明暗を分ける。
じゃあそんな知識をどうやって一つでも多く知っておくことができるか?
その方法の一つがこの本だと思います。

本では8つの大きな自然災害をとりあげています。
台風、大雨、雷、竜巻、大雪、熱中症、地震(津波)、火山の8つで、どの章から読んでも大丈夫。

特に印象的だったのは、今まさにリスクのある「熱中症」。
斉田さん自身が昨年熱中症になってしまったときの話にリアリティがあり、
誰でもあっさり熱中症になりうるし、知識がないとこれって熱中症なんじゃ…?と自分や家族も気付くのが遅れる危険があると知りました。

最近は決まり文句のように「熱中症にお気をつけくださいね」とかメールで書いちゃうけどさ…。それってどういうことか?ということを考えて危機感をもってその言葉を発しているか、受け取っているか?ですよね。


ある自然災害がいのちに関わるような事故となるかどうかは、その災害を受けた場所の環境、状況によっても変わるし、さらにそれを予測したり適切な対策をうてる知識があるかにもよる。
しかも、その知識があっても、油断や過信で行動が伴わなければ…。

私たちは心配だとたくさん情報に触れようとするし、今はネットもあるので簡単にアクセスできるようになっているけど、
その情報を「いのちを守る手段」にするためには、自分側にもベースとなる知識が必要なんですね。

この本は、その災害がなぜ起きるのかという気象学をわかりやすく噛み砕いた解説と、豊富な事例(たいていが人が亡くなった話なので心が痛みますが、これを読ませていただくことで無駄にはすまい、と思わされました)により私たちが取りうる術を知ることができます。

章の最後には、何か起こったときの状況に照らし合わせて判断できるわかりやすいまとめもあります。

自然災害を、「まさか自分に起こるとは思わなかった」ではなく、「いつかは自分に起こるかもしれない」と思うこと。
でも「いつ起こってもおかしくないんだよね…。こわいなー、どうしよう」と漠然とした不安のままにせず、事故を防ぐための科学的な知識をもち、具体的な対策を講じられるようにしておくこと。

しっかり肝に銘じ、家族とも共有したいと思います。


「お天気キャスター」って華やかなイメージで人気職業という感じですが、
「いのち」を左右する情報を提供する、本当に責任あるお仕事なんだなあ。

日々のお天気情報は刻々と変わる、賞味期限のある情報。
この本に載っているのは、その日々の情報を最大限意味のあるものとして受け取るための一生モノの知識で、いわば一般人にとっての気象情報のマニュアルだと思いました。

自分や大切な人を守るために、一日も早く、一人でも多くの人に手に取っていただきたい本です!
あー、ますます好きになってしまった…。

  

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